2−2−9 渡辺満久・池田安隆・鈴木康弘・須貝俊彦(1993)

北上低地帯西縁の古地震と断層構造−花巻市西方、上平断層群のトレンチ調査−.地理学評論,67A,393−403.

<要約>

北上低地中央部西縁(北上低地西縁断層中央部)の上平断層群(活断層研究会、1991の14−g断層)のトレンチ調査を行い、変位量、断層活動年代、event発生時期(古地震)の推定を行った。

 トレンチ掘削地点は、岩手県花巻市北湯口の畑地で、照井ほか(1993)の北湯口断層との関係は言及していない。しかし位置図から北湯口断層より東に位置すると推定され、活断層研究会(1991)の上平断層群中の14−gと一致する。またトレンチを掘削した断層の命名は行っていない。

 トレンチ北西面のスケッチからeventは2回推定され、最新活動は約4000〜6000年前、一つ前の断層活動は約6000〜1万数千年前に発生したと推定した。最新の断層活動時のF1断層の上下変位量は0.8m、平均変速度は10−1/1000年のオーダーで、活動度B級の活断層である。この結果は粟田ほか(1988)と調和的である。