<要約>
北上低地西縁の和賀川から夏油川の間の地質図を提示し、その層序学的考察、フィッショントラック年代、珪藻化石、花粉化石等を用い考察を行った。その結果、従来鮮新統とされてきた本畑層の年代が後期更新世から前期更新世にわたるとした。その根拠として本畑層瀬見温泉凝灰岩のうち火砕流堆積物のフィッショントラック年代は1.2±0.2Ma、萱刈場層中の安山岩から0.90±0.10Ma、0.96±0.11MaのK−Ar年代値を提示した。
段丘堆積物の基底をなす地層の堆積年代が明らかになれば、北上低地帯の形成に関わる構造の活動履歴を詳細にとらえることができるとしている。