<要約>
これまで行われていなかった北上低地帯全域(盛岡~水沢)にわたる河成段丘面の対比・編年をAso-4・Toyaといった広域火山灰を用いて行い、さらに最終間氷期極相期以降の岩屑供給量の変遷について検討を行った。北上低地帯全域の段丘分類図を提示し、指標テフラの記載を行った。段丘面は高位からT面群、H面群、M面群、L面群に区分し、段丘上に載っている火山灰とそのフィッショントラック年代から段丘面の形成年代を推定した。
T1面はO3p以上の火山灰を載せ450ka、T2面はA3p~A2p以上の火山灰を載せ290~310ka、T3面はH2p~H1p以上の火山灰を載せ210~230kaの年代が得られた。H1面はToya直下の火山灰以上を載せ、150kaの年代と推定されたが、H2面については年代推定の根拠となる試料は得られなかった。M1面についてはKta以上の火山灰を載せ80~90ka、M2面については段丘面の対比から50~60kaと推定された。L1面はKp以上の火山灰を載せ、さらに放射性炭素年代測定により20ka、L2面も同様に3ka形成年代としている。