2−2−10 活断層研究会(1991)

新編「日本の活断層−分布図と資料」.東大出版会,437p.

<要約>

北上低地西縁断層帯系は秋田、盛岡、一関、新庄の図幅にまたがっている長大な断層群である。以下に各図幅ごとの北上低地西縁断層に含まれる断層名を記す。さらに各々の断層について簡単に記載する。

秋田/西根断層群

     横森山断層

     尻平川東方断層

盛岡/鵜飼西断層

     南昌山断層群

     上平断層群

     上平西断層

     江釣子山南(東)断層

         (西)断層

     横森山断層

一関/橇引沢断層

     潤沢南断層

     出店断層

     瀬峰断層

     天狗森断層

     野崎断層

新庄/荒屋−下村断層

     古館断層

     法量野−浦沢断層

     鉢森山断層

  細野北方断層

・西根断層はa、b、c、dの4本の断層からなる。確実度T〜U、活動度B、延長5.5〜7.5km、平均変位速度が最大の西根断層で0.7m/103年と記載されている。

・鵜飼西断層は確実度U、活動度Bの断層崖として記載されている。

・南昌山断層群は(西)・(東)ともに確実度T、活動度B、延長7kmで、扇状地を変位させている。平均変位速度は0.2m/103年である。

・上平断層群は、北上低地西縁断層中最も明瞭な変位地形が認められる断層群で、a〜g間での断層として記載されている。確実度T、活動度B、断層群としての長さは32km、平均変位速度が推定されたd、g断層で0.2m/103年と記載されている。

・上平西断層は上平断層群より西の山中に高度不連続を呈して記載された確実度Vの断層である。

・江釣子山南断層は(東)・(西)ともに確実度T、活動度B、延長が0.5kmの扇状地を切る低断層崖として記載されている。

・横森山断層は確実度T、活動度B、延長4km、平均変位速度は0.2m/103年として記載されている。秋田図幅にも記載されており、延長は6kmとなっている。

・尻平川東方断層は確実度T、活動度C、延長2.5kmと記載されている。

・橇引沢断層は確実度T、活動度B、延長4.6km、開析扇状地を40m変位させている断層である。

・潤沢南断層は確実度T、活動度B、延長4kmと見積もられている。

・出店断層は確実度T、活動度B、年代は胆沢段丘(10万年前)を変位させているもの、水沢段丘(2万年前)を変位させているものが示されている。

・瀬峰断層は確実度T、活動度B、延長1km、扇状地を変位させている。

・天狗森断層は確実度T、活動度C〜B、延長4km、開析扇状地を変位させている。

・野崎断層は確実度T、活動度C、延長3.5km、開析扇状地(2〜3万年前)と、河岸段丘(9〜10万年前)を変位させている。

・荒屋−下村断層は確実度U、活動度B、延長3kmの高度不連続と記載されている。

・古館断層は確実度T、活動度B、延長1km、丘陵斜面の地塁状の高まりとして記載されている。

・法量野−浦沢断層は確実度T、活動度B、延長3.5kmの断層崖として記載されている。また、扇状地面(2万年前)を変位させていると推定されている。

・鉢森山東断層は確実度T、活動度B、延長13kmの断層崖として記載されている。また、扇状地面(2〜3万年前)を変位させている低断層崖が記載されている。

・細野北方断層は確実度T、活動度B、延長2km、丘陵内に地塁状の高まりとして記載されている。