<要約>
内陸盆地の形成に関わってきた地殻変動の特徴を明らかにするため、まず北上低地帯全域の活断層分布図を提示し、活断層の特徴をもとに北上低地帯を、北部(盛岡〜日詰)、中央部(日詰〜花巻)、南部(花巻〜水沢)の3地域に区分した。さらに比抵抗法を用い第四系基底面高度を求め、基底面の地質構造と各断層の活動形態から、Outer−type・奥羽山地から東(外帯)へ傾く、Inner−type・奥羽山地から西(内帯)に傾く、という2つのtype分類をおこない、断層運動のモデル化を試みた。モデル化された断層運動によって生じる変位パターンと実際の構造を比較した。その結果、I−typeは断層面に沿う変位量があまり小さくなることなく、地下深部から地表面までを断ち切るような顕著な断層活動の存在を指摘し、このtypeは北上低地帯中央部に卓越するとした。O−typeは、変位量の大きい主断層が地下深部にあり、地表付近の断層は主断層から派生している高角の副断層であるとし、このtypeを北上低地帯北部と南部に当てはめた。