11−2−2 地形地質調査、トレンチ調査の結果

雫石町篠崎では地すべり土塊と沖積低地とを境する直線的な断層崖があり、比高は40〜55mである。同町堀切、上西根ではLV段丘を変位させる低断層崖があり、比高は約2mである。その背後には盆地境界と並行して地塁状に連なる細長い丘が分布する。萩の台〜横欠では山地が盆地西縁の直線的な境界をなしている。竜川を横切ると地形的に不明瞭になり、滝沢南の山地内に鞍部が連続するだけである。これ以南では不鮮明な山地と丘陵地の地形境界が弧状に連なるのみである。赤沢川が横切る地点にはM段丘が分布するが高度不連続はない。

トレンチ調査は雫石町西根の扇状地を横切る「低断層崖」で実施した。西根トレンチでは断層は確認されず、最新イベントなどに関しての議論は出来なかった。同トレンチは山麓部に位置する小規模な扇状地を横切る「低断層崖」と思われた地点で実施された。しかし、トレンチ基部では扇状地礫層が連続して分布し大きな高度差も断層も認められない。扇状地礫層には堀切軽石層(約7,000年前) が挟在しており、完新世前期の堆積物である。トレンチ地点の低崖は扇状地礫層堆積以降に小沢が浸食して形成されたものと解釈される。断層位置はトレンチのさらに前面10m 付近を通ると推定されるが、当該地点は出水が著しく深さ1m以上の掘削困難であり、断層は確認できなかった。