北部の曽谷大谷川に沿う地域の走向傾斜は,卯辰山層下部の砂層(N40°E,67°W),大桑層上部のシルト層(N38°E,53°W),大桑層下部の砂層(N50°E,38°W),安山岩と凝灰岩の境界部(N78°E,55°W),凝灰岩中のラミナ(N58°E,75°W),および凝灰岩の風化層(N65°E,25°W)であった.これらの測定結果では,この付近の地層の走向は概ねNE−SW〜ENE−WSWで,西に向かって25°〜75°の傾斜となっている.平成9年度に北接する四十万地区で行った地表地質踏査では,大桑層の走向は概ねNNE−SSWで,傾斜は50〜60°Wであったことから,走向はやや西に屈曲し,傾斜はかなり緩くなってきていると言える.
中部では,林道坂尻町線のヘアピンカーブに露出した凝灰岩に挟まれる軽石層の走向傾斜がN35°W,25°W,林道坂尻町南線沿いの露頭でN36°E,74°W,竹谷川左岸で70°W,24°Eとなっており,一定しない.また,林道荒屋線入り口付近の切土地に見られる露頭では,凝灰岩を覆う円礫層が西側に傾斜しているように見えるが,上部に向かうほど急速に傾斜が緩くなるように見えることから,崖錐堆積物であると判断される.
南部では凝灰岩層が大半を占め,走向傾斜が測定できる露頭は見いだせなかった.