3−6−1 調査位置の選定

平成9年度の調査では,地形境界より平野側の断層前縁部と考えられる位置でトレンチ調査を行ったが,地層の変形が認められただけで明瞭な断層は確認できなかった.極浅層部反射法弾性波探査では,前縁部のほか,平野と丘陵の地形境界付近にも地層の不連続部分が推定されており,現地では中位段丘の段丘崖下端から新期扇状地にかけての位置にも想定される断層と平行な方向に直線的な低崖が連続していることが把握されている.地形境界や低崖は,四十万地区では幅数十m程度の狭い範囲に集中しており,特に地区内の加賀産業道路終点付近では1本に収束して低崖を形成しているように見える.この地点の既存ボーリング資料では,丘陵側に位置する段丘堆積物がやや傾斜している状況が把握されており,「新編日本の活断層」「都市圏活断層図」等,既存文献でも断層の存在が指摘されているところでもある.これらの情報から,この地点に断層が伏在している可能性があると判断されることから,加賀産業道路終点の道路建設予定地で詳細調査を実施することとした(図3−6−1).

図3−6−1 四十万地区調査位置図