(1)掘削経緯
発掘調査により見出された撓曲崖状の地形を横断するように掘削範囲を設定し,順次掘削を行った.掘削開始時の地表面より約1mの深度で,N面,S面にほぼ水平に堆積する砂層,砂質シルト層を切る東傾斜約20度の薄い腐植土層を発見,これを追跡して掘削を進めた.傾斜した腐植土層はほぼ一定の傾斜で深くなり,深度4m以上まで連続していた.深度4m付近より下位には風化した砂岩層が現れ,卯辰山層上面と考えられたため,この面の連続性を確認したところで掘削を終了した.重機による粗掘削の後,人力によって壁面を整形し,観察用に1mメッシュのグリッドを設置した.なお,E面およびW面については地下水の湧出がみられ,断続的に小規模な崩壊が続いたことから整形および観察を行えなかった.
また,調査地点は道路建設用地であり,調査中から工事が開始され,トレンチ地点もその対象となっていたことから,きわめて短期間の観察で埋め戻すこととなった.