4−6 今後の課題

2年度にわたる調査の結果、森本・富樫断層帯について様々な事項が明らかとなった。しかし、これらの断層が完全に解明できるほどの情報は得られていないことも事実である。また、新たな疑問点が生じてきたところもある。

今後の調査に活用できるよう、残された課題をとりまとめた。

・梅田地区のトレンチ調査で発見された断層については、活動年代は明らかにされたが、副次的な断層である可能性が高く、主断層の位置、1回あたりの変位量、再来間隔については正確な値が確認できなかった。今後、梅田地区において主断層の位置を特定し、活動の累積性を確認して再来間隔を求めるためには、ある程度規模が大きく、広い範囲にわたる調査が必要である。

・1799年金沢地震と森本・富樫断層帯との関係は2年度にわたる調査では解明できなかった。しかし、金沢周辺を震源とする地震が発生したことは確実であることから、引き続きこの地震の震源を探求していく必要がある。ただし、金沢地震の記録が最も豊富な金沢市街地周辺については市街化が進んでおり、トレンチ掘削の適地を見出すのは困難である。

・富樫断層については確実な情報が得られていない。引き続き調査を行い、特に調査用地取得が比較的容易と考えられる鶴来町坂尻地区以南において、断層に関する情報量を増やしていく必要がある。