4−2−3 富樫断層の活動時期
平成9年度調査では四十万地区で約30,000年前の腐植質シルトおよびその直上の礫層が乱れていることが明らかとなった。この地層の乱れは氷期に形成された周氷河地域特有の構造土と酷似しているが、一般に低標高地域での化石周氷河現象は東北地方北部より南では確認されておらず、北陸地方の平野で周氷河地域の構造土を発見したという事例の報告もないことから、地震活動による液状化によって形成された可能性が高い。約9,000年前の地層より上位の層には乱れが見られないことから、地層の乱れは約30,000年前から約9,000年前の間のいずれかの時代に発生したものと考えられる。この地層の乱れは直接富樫断層の活動を示すものではないが、大きな地震動が原因と考えられることから、直近で地震が発生した可能性が考えられる。