ボーリング調査は、極浅層部反射法弾性波探査(四十万測線)によって断層が推定された位置において、その存在や詳細な位置、地表面付近の変形の有無を把握した上で、適切なトレンチの位置を選定する目的で行った。
A位置の選定
調査地域周辺には既存のボーリング資料が少なく、極浅層部反射法弾性波探査で得られた反射面が地下のどのような境界に対応しているのか判断することは困難であった。このため、地形的に急傾斜帯が形成されており、断層が伏在している可能性がある反射法測点の252m地点で、地層の確認および断層破砕帯の存在の有無を確認するために深度50mのボーリングを行った。その結果、表層数mは軟弱なシルト層や砂礫層が分布しているが、それより深部は地下50mまで厚い円礫層が連続しており、破砕帯は認められないことが明らかとなった。この結果を受けて、極浅層部反射法弾性波探査の解析によってF3・F4・F5の各断層が想定される区間において、地表付近のシルト−砂礫層の変形の有無を確認するため、円礫層上面付近までの短いボーリングを5箇所で行うこととした。また、丘陵と平野の地形境界付近には反射法によりF7・F8の各断層が推定されており、大きな地質境界が存在する可能性が考えられた。このことから、これを確認するために深度40m程度のボーリングを行うこととした。(図3−4−3)
さらに、各ボーリング間の円礫層上面深度の変化を詳細に把握するため、ボーリングの補完としてスウェーデン式サウンディングを20箇所で実施した。
B調査期間
ボーリング調査は以下の期間で行った。
着 手:平成 9年 7月 1日
完 了:平成 10年 3月 27日
C掘削仕様
本調査は「石川県土木部土質・地質調査共通仕様書」、当業務の図面並びに設計書および特記仕様書にしたがい、以下の仕様で実施した。
ボーリング調査(B9−1〜B9−7,深度6〜50m)
掘削径:φ86 mm オールコアボーリング(オイルフィード式)
掘削数:7箇所 延長計 130.00m
スウェーデン式サウンディング調査(S−1〜S20,深度1.90〜5.40m)
掘削数:20箇所 延長計 80.15m
表3−4−3 φ86 mmオールコアボーリング内訳表
表3−4−4 スウェーデン式サウンディング内訳表