森本断層と連続した断層である可能性も考えられる富樫断層について、周辺の地質構造や断層の概略位置、地表露頭での変位の有無など、周辺の概要を把握する目的で地表地質踏査(精査)を行った。
A調査地域の選定
既存文献によると、富樫断層に沿う地域では大桑層(80−130万年前)や卯辰山層(40−80万年前)が大きく撓曲し、金沢市四十万付近では直立ないし逆転している部分もあることが報告されている。また、金沢市北部から連続的に分布する卯辰山層が四十万地区を境に南側には分布しないとされている。これらのことから、平成8年度調査との対比が行いやすく、地層の変形が著しいとされる四十万地区において、富樫断層沿いの1,300×700m(約1.0km2)の地域について地表地質踏査(精査)を実施し、詳細な地質構造の検討を行うこととした。(図3−4−2、図3−4−3)
図3−4−1 地形分類図(四十万地区)
図3−4−2 四十万地区調査位置図
図3−4−3 四十万地区調査位置詳細図
B調査方法
地表地質踏査(精査)は地形面構成層の確認、地層の走向・傾斜および断層の分布・形態把握を目的とした。踏査にあたっては、調査範囲内の道路・渓流沿いや採土場等にみられる大小の露頭をくまなく観察した。踏査結果は踏査ルート図を作成し、1/2,500表層地質図としてとりまとめた(付図「表層地質図」(付図5−1、付図5−2)参照)。また、重要な露頭については写真を撮影し、露頭スケッチを行った(図3−4−4、図3−4−5−1、図3−4−5−2、図3−4−5−3)。