このうちT−1とT−1’のトレンチ調査は、埋蔵文化財発掘調査時に認められた「地盤の液状化の痕跡(噴砂跡)」について、噴砂の噴出機構や液状化の発生年代を再検討する目的で、報告されている「砂脈」の位置で掘削し、平面・断面形状を観察した。
T−2トレンチは、今回のボ−リング調査や極浅層弾性波探査、既往の調査資料から「森本断層」の一部が確認できる可能性が高い位置を選定し、断層の規模や形態の把握と発生年代や発生サイクルを検討する資料を得る目的で実施したものである。トレンチ調査位置と埋蔵文化財との関係を図2−7−1−1に示す。
各地点の調査結果の詳細は次項以降に示すが、T−1,T−1’のトレンチ調査では、明瞭な液状化の痕跡を認めることができなかった。
T−2トレンチ調査では、弥生時代後期前半以前の沖積層と基盤の卯辰山層内に明瞭な断層や撓曲構造が確認された。
図2−7−1−1 トレンチ位置と埋蔵文化財との位置関係(石川県埋蔵文化財保存協会「遺跡図」に加筆)