(1)目的
寛政11年(1799年)に発生した地震により、金沢を中心に大きな被害が生じたことが当時の日記等に記録されている。被害記録のうちいくつかのものは詳細な記載がなされ、町名・家主名まで復元可能な場合も見受けられる。これらの一部は寒川(1986)等にまとめられているが、金沢の地域性を考えると旧城下町と現在の町割りには大きな変化がないことから、記録を丹念に解読すればさらに高精度で当時の被害状況が復元できるものと考えられる。このことから、古記録を解読することにより1799年金沢地震の被害状況の詳細な把握を行い、被害状況の分布から被害の特性・地震の特徴を明らかにすることを試みた。