1−1−2 調査目的

阪神・淡路大震災を教訓として、長期的な地震予知と災害軽減のため、直下型地震の震源である活断層の活動性について一層の調査研究が必要とされている。新編「日本の活断層」によれば、石川県の県都である金沢市周辺には北東−南西方向に延びる活断層系が存在している。このうち主要断層である森本断層・富樫断層は地形・地質的に見ても明瞭な活断層を形成しながら詳細調査がなされていない。また、過去の地震活動履歴も不明な点が多く、古地震学的な活断層の調査も行われていない。

今回の調査は、森本断層・富樫断層の活動履歴や詳細な地質構造を明らかにし、地震発生の可能性について長期的な評価を行い、地震予知・防災上の基礎データを得ることを目的とする。

具体的には、以下のとおりである。

@断層の位置をできる限り正確に求める。

A断層による様々な年代の地層の変位量を求め、そこから長期的な変位速度の変化を求める。

B断層の活動履歴と活動度を明らかにする。

Cそれらの結果により、活動周期と最終活動時期から将来における森本断層・富樫断層の活動予測を行う。

これらの結果は、防災計画の策定に役立つとともに、地震に関する調査研究のための基礎資料となる。