芦谷川左岸地点(神戸市北区淡河町中山)では,断層を境として北側に神戸層群,南側に有馬層群が分布することが確認されたが,その地質境界断層はこれらを覆う堆積層に変位を与えていないことが明らかとなった。しかし,地質境界断層に近接して,堆積層に著しい変形を与えた断層が検出された。図6−7に示すとおり,断層の変位はWb層まで達していることは確実であり,その上位のX層の基底面に変位は認められず,Wb層の変位により隆起した北側の高まりを埋めて堆積していることから,X層は変位を受けていないと判断される。したがって,芦谷川左岸地点における淡河断層の最新活動時期は,Wb層堆積以降,X層堆積前であり,Wb層中には三瓶池田テフラ(SI:約40,000年前)が,X層中には阪手テフラ(約15,000年前〜16,000年前)の降灰層準が認められることから,その年代は約40,000年前以降,約15,000年前以前となる。
また,基盤岩を不整合に覆う河成段丘礫層堆積期以降,確実・不確実あわせて6回の断層活動が推定される。この段丘堆積物の年代が阿蘇4テフラ(Aso−4)降灰期(約90,000年前)と同定されることから,その活動間隔は約15,000年と見積もられる。
図6−7 地質解釈断面図
表6−2芦谷川左岸地点の地質層序