4 須磨断層の調査結果

断層の性状や活動性などを明らかにすることを目的として,図4−1−1図4−1−2に示す一ノ谷地点(兵庫県神戸市須磨区一ノ谷町1丁目,同区西須磨字鉄拐)において,ボーリングおよびトレンチ調査を実施した。調査は,地形判読結果と周辺の地質状況より,断層の通過位置をほぼ特定することができた第1トレンチより着手した。その結果,断層とそれを覆う未変形の堆積層を確認することができた。その結果を踏まえて,2番目のトレンチ候補地点を選定するため,トレンチ調査に先行させて,図4−1−1図4−1−2に示す6地点において,ボーリング調査を実施した。それにより,断層の存在をボーリングコアで確認することができ,ボーリング調査地内でトレンチ調査地点を決定し,引き続いて試掘を開始した。しかし,試掘地点における表層地盤が予想に反して高含水の軟弱粘土であり,トレンチ法面が自立できず,観察法面の形成は不可能と判断した。

したがって,ボーリング調査によって表層部の地盤情報は得られなかったが,第1トレンチと同じ地質条件,すなわち,北側の谷壁には花崗岩が,同様に南側には花崗岩質砂礫層が露出し,地形判読結果によるリニアメントの延長上にあたる位置に第2トレンチ地点を選定し,調査を継続して実施した。

以下に,当一ノ谷地点における調査結果をまとめる。