4−2−4 地質解釈

ボーリング調査やトレンチ調査で確認されたように,本調査地域は堆積層が薄く,基盤岩上面深度は1.3〜3m前後と浅いため,S波反射法地震探査より断層構造を確認することは困難であった。そこで,S波探査記録において,その初動の到達時間を読みとり,極表層部を対象としてトモグラフィ解析を実施した結果,図4−19(2)に示すようなS波速度分布を得た。

これより,CMP 200番(UT ? 2孔)付近より南側ではS波速度の遅い層が厚いが,これに対して北側の地表直下付近においては,比較的速い速度分布が推定される。ボーリング調査の結果,UT ? 1孔(CMP 260番付近)の基盤岩は表層より硬質であるのに対し,UT ? 2孔(CMP 200番)より南側のボーリング孔で確認された基盤岩は破砕を受けて脆弱化している。また,第2トレンチの調査より,硬質な基盤岩と粘土化した基盤岩の境界も反射法地震探査測線のCMP 200番付近に相当し,これらの調査結果は整合的である。

図4−20は,鰻ノ手北地点におけるボーリング調査結果とトレンチ調査結果をまとめたものである。ボーリング調査およびトレンチ調査の結果,UT ? 2孔からUT ? 7孔に至る間で,基盤岩の有馬層群は全体的に破砕されているものの,明瞭な断層は認められなかった。また,基盤岩の破砕部を覆う砂礫層および腐植層などの堆積層にも,断層による変位や変形は見られなかった。本調査範囲は,西側および東側のリニアメントの延長部を横断していることから,リニアメントに対応する断層は,少なくとも本地点の堆積層堆積以降は活動していない可能性があり,堆積層の14C年代は約40,000年前の値が得られている。