4−2−3 トレンチ調査

ボーリング調査結果より,UT ? 5とUT ? 4孔の間に断層が通過すると推定されたことから,まず第1トレンチの掘削を実施した。図4−16−1にトレンチ壁面の観察結果を,図4−16−2にその写真を示す。第1トレンチにおいては,基盤岩上面深度は北から南に向かってなだらかに深くなっており,ボーリング調査で示唆された落差を確認することはできなかった。その上位に分布する堆積層はシルト,砂,および砂礫で構成され,トレンチの南側では腐植層が厚く分布し,その下位には湖成堆積物が見られる。堆積層には断層活動による変位構造は認められず,基盤岩は破砕を受けているものの,明瞭な断層は認められなかった。

第1トレンチの調査結果より,さらに北側に断層が通過する可能性を考慮して,第2トレンチの掘削を実施した。図4−17−1にトレンチ壁面の観察結果を,図4−17−2にその写真を示す。調査の結果は第1トレンチと同様に,堆積層には有意な変位を認めることができない。基盤岩は,第1トレンチと同様に破砕を受けているが,トレンチ北部では硬質な凝灰岩質流紋岩となっている。

さらに,第1トレンチ北端と第2トレンチ南端の間の構造を確認するため,第2トレンチを南側に延長した。図4−18−1にその壁面の観察結果を,図4−18−2にその写真をそれぞれ示す。調査の結果,第1および第2トレンチと同様に,堆積層に断層による変位は見られないが,基盤岩は破砕を受けて脆弱化している。

また,第1トレンチの腐植層から採取した試料を用いて放射性炭素年代測定を行った。その結果,表4−6に示すとおり,42,070±510 y.B.Pという年代が得られた。

表4−6 放射性炭素年代測定結果