表層静補正について,P波反射法地震探査の場合には,初動走時(地震波の最初の到達時間でP波の到達時間)をデータとして屈折法地震探査の解析をすることにより,表層付近に偏在する風化層の層厚や速度の変化を把握することが可能である。一方,S波反射法地震探査の場合には,S波の初動は,P波の初動以降に存在し,P波の初動やP波の反射波などにマスキングされることが多く,その走時を読み取ることは一般には困難で,S波速度に着目した風化層の層厚変化などの推定は難しい。このことから,今回はこれらを補正する表層補正は行わない。なお,静補正の概念を図3−8に示す。
図3−8 静補正の概念