砂礫層A及び砂礫層Bでは,砂サイズ以下の部分のほぼ連続試料を,大阪層群内では肉眼でテフラと推定できたものをそれぞれ採取した。分析数量は計1試料(95サンプル)である。
砂礫層A及び砂礫層Bのいずれの連続試料でも,そのほとんどはテフラ起源のものを含まないものの,砂礫層Aの深度14.30m〜14.73m及び砂礫層Bの深度59.38m〜60.40mに,いずれも,極めて微量ではあるが,高温型(β)石英及び褐色を帯びた緑色普通角閃石が含まれ,角閃石の屈折率は1.683〜1.691程度である。このこと及び砂礫層の類似性から,両層準は,同一層準と判断され,この層準での断層αの鉛直変位量は約45mとなる。
この層準は,褐色角閃石と高温型(β)石英が混在していることから,その確実度は低いもののAso−4テフラ(約8.7万年前)及びK−Tzテフラ(約9.5万年前)層準である可能性がある。
一方,大阪層群中の深度102.94m〜103.45mに狭在する白色ガラス質極細粒テフラについては,いわゆるパミスタイプの火山ガラスを含むことを特徴とし,ガラスの屈折率は1.500〜1.503である。しかし,このテフラは特徴に乏しく,ガラスの屈折率が1.500〜1.503程度であるテフラは,大阪層群中に多く見られる。このため,現段階では,対比は困難である。