7−1 山崎断層帯周辺に起った被害地震

山崎断層帯の周辺で発生した被害地震としては,西暦868年の播磨地震(播磨国大地震)が知られている※1。その他, 日本の被害地震をまとめた新編日本の被害地震(宇佐美,1996)では,目立った地震は記録されておらず,山崎断層帯からやや離れた杉原谷(加古川上流)で1864年に発生したM61/4の地震が記載されている程度である。

一方,播磨地域の郷土史を中心に被害地震を調査した寺脇(1995,1997)は,新編日本被害地震総覧に記載されていない以下の2つの地震を記載している。

@ 時期:西暦1412年(応永19年)

場所:印南郡米田(現高砂市米田)付近

推定規模:M≒6.5

被害記述:播磨国では米田の東西約40キロメートルにわたって人家,社寺が倒壊したり破損。圧死した人も多かった,火災も発生した。播磨以外での被害は大したことがなかった(「鎮増私聞書」による)。

A 時期:西暦1818年(文化15年)

場所:安志谷(現宍粟郡安富町付近)

推定規模:M≒6.0

被害記述:山崎辺りから安志谷にかけて地震被害(農作に影響)が発生した(「爾覚日記」による)。

ただし,これらの地震の記録は広範囲に記録されておらず,局所的に被害をもたらした程度の地震であった可能性が高いと評価されている(寺脇(1997))。

※1 播磨地震:西暦868年(貞観10年)8月3日に発生。被害地域は播磨・山城地域。推定規模はM≧7(新編日本被害地震総覧(宇佐美龍夫, 1996))。

「三代実録」による被害記述:播磨国諸郡の役所の建物や多数の定額寺の堂塔が倒壊。京都では,石垣, 塀, 家屋を震動させ, あちこちで垣や家屋がくずれたり破損した。その後も余震活動とみられる有感地震が多く発生した。

引用:(新編日本被害地震総覧(宇佐美龍夫, 1996),古地震(萩原尊禮編著, 1982))