山崎断層帯周辺地域の基盤岩は, 三郡帯(結晶片岩類),舞鶴帯(塩基性岩・粘板岩等), 丹波帯・超丹波帯(頁岩・砂岩・緑色岩・チャート等)などの古期岩類と,その中に貫入した花崗岩類や古期岩類上に噴出・堆積した有馬層群などの火成岩類(ともに白亜系)からなる。
一方,第三紀以降に堆積した神戸層群(砂岩・泥岩・凝灰岩など)や大阪層群・段丘層・沖積層(粘土・シルト・砂・砂礫)などの被覆層は,断層帯東部を中心に広く分布している。
表5−1 播磨地域の地層と地史
図5−1 山崎断層と周辺の地質
山崎断層帯に沿っては,谷・尾根筋の屈曲や,段丘面の食い違いなど,最近の断層活動を示す地形的証拠が随所に認められる。活断層の活動性を把握する上では,このような段丘面や河谷・尾根筋など第四紀に形成された地形情報や第四紀に堆積した地層の情報が重要になる。
当地域に分布する第四紀層は,大阪層群(ここでは高位段丘層も含めている),中・低位段丘層,沖積層,崖錐に分けられる。このうち大阪層群は,新第三紀鮮新世末から第四紀更新世前期に形成された明石累層(大阪層群下部亜層群に相当)と更新世中期に形成された明美累層(同上部亜層群に相当)に大別される(表5−1)。
一方,段丘面については,研究者により面区分や地域ごとの対比は多少異なっているが,大きく見ると, 高位段丘, 中位段丘, 低位段丘の3段に区分される点は共通している(表2)。
そのうち,最も細かく分けられているのは高位段丘面である。高位段丘面は明美累層(大阪層群上部亜層群相当層)の堆積面であり,特に隆起速度の大きいとされる加古川中流域左岸(東側)では,時代の異なる何段もの高位段丘面が識別できる。しかし,今回の調査では広範囲にわたる高位段丘面を区分・対比する必要から,表5−2の右端に示した区分を用いることとした。なお,各段丘面の詳しい年代を求めるのは困難であるが,これまでの研究資料を参考にすると, 低位段丘面で2万〜4万年前, 中位段丘面で6万〜13万年前,高位段丘U面で20万〜30万年前,高位段丘T面で30万〜50万年前程度と推定される。
表5−2 播磨地域の段丘面対比表