塩尾寺断層の推定位置付近は,現在広範囲に人工改変されており,断層露頭など直接断層の存在を示す地質情報は得られなかった。しかし,断層が推定されている宝塚市逆瀬台東方をほぼ南北に延びる断層もしくは撓曲崖を挟んで,西側は地表付近まで基盤岩の花崗岩が分布するのに対し,東側で掘削された逆瀬川団地の深井戸ボーリング(藤田他,1982)では,地表面下200mまで砂・砂礫を主体とする堆積層が確認されていることから,この間に西側隆起の断層が存在することは確実とみられる。
【清荒神断層】
本断層は,有馬−高槻断層帯から南側に分岐し,六甲山地南東縁断層帯(大月断層あるいは五助橋断層)方向へ延びる断層である。清荒神断層の周辺は開発が進み,現在断層露頭は確認できないが,地形的には南側隆起のセンスを持つ断層が推定され,大月断層への延長部にあたる宝塚市湯本町では,既存ボーリング調査により大阪層群を変位させている南落ち(北側隆起)の断層が推定されている。