5−6−7 有野−淡河断層【巻末資料1−10〜1−13】

有野−淡河断層は帝釈山地の北縁を画し,ほぼ東西に延びる断層であり,大きく見ると,帝釈山地を構成する有馬層群と,その北側の三田盆地側に広く分布する神戸層群との境界断層として位置付けられる。当断層の東部を構成する有野断層では,断層露頭自体は確認できないが,かつて断層近傍では,断層の北側に分布する神戸層群の撓曲帯(写真5−8)が報告されており,現在でもその一部が観察される。

一方,淡河断層に沿った断層推定線上では,有馬層群と神戸層群とが接する断層露頭が,八多町付近で確認されたのをはじめ(巻末資料:1−12の写真A3‐4(図8−12−2)),淡河町木津南方では断層近傍で北側に分布する神戸層群が急傾斜している断層露頭が確認された(巻末資料:1−10の写真A1‐2(図8−10−2))。なお,これらの断層推定線近傍に分布する段丘堆積物などの新期堆積物の変位・変形を示唆するような情報は得られなかった。

写真5−8 有野断層に沿う神戸層群急傾斜帯(神戸市北区有野町,1970年頃撮影)