4−1−2 琵琶甲断層(a)−琵琶甲断層(b)
琵琶甲断層(a)とその南東延長部に位置する琵琶甲断層(b)との間には,万願寺川の沖積低地が発達する。この低地に分布する低位段丘には断層変位を示すような明瞭な変位地形は読み取れない。また,周辺にまとまったボーリング資料もないことから,地下の地質状況に関しても良くわかっていない。しかし,琵琶甲断層(a)の延長線上に琵琶甲断層(b)が位置していることから両者が連続する可能性は高いと考えられる。万願寺川の左岸,青野ヶ原と称される高位段丘上位面に入ると,北西−南東方向に延びる横ずれ変位を伴う低層崖(撓曲崖)が,台地西端から東端まで2kmにわたって追跡される。この低断層崖に沿って,面を構成する砂礫層・シルト層が南西側に10°以上傾斜し断層で切られている露頭が見出されている。
当断層による高位段丘上位面(構成層)の変位量は,上下方向に約15m(北東側上がり),水平方向に50〜100m程度と推定される。