4−1−1 安富断層−琵琶甲断層(a)
安富断層の横ずれ変位量は,安富町三森の200〜300mを最大とし,夢前町四辻では80〜120m,夢前町前之庄西部では30〜50mと,東方にゆくにつれ変位量は小さくなる傾向が認められる。そして,前之庄から福崎町にかけては,断層変位を示す地形が香寺町久畑〜福崎町西谷にかけての約1kmの範囲(左横ずれ量は20〜30m程度)にみられる程度となる(平成7年度調査による)。今回の調査では,安富断層の東方延長部(福崎町から加西市北条南方まで)は,基盤山地中に2km以下の短いリニアメントはいくつか認められるが,明瞭な変位地形を伴ったリニアメントは見出せなくなり,南東部の琵琶甲断層には直接つながっていない可能性が高いと判断される。琵琶甲断層(a)は,横加西市横田〜琵琶甲町にかけて,高位段丘下位面上を北西−南東方向に延びる高さ5m前後の直線的な低断層崖が約3kmにわたって追跡され,さらに高位段丘下位面を切る断層露頭も確認された。一方,本断層の東方,野条から万願寺川右岸にかけては,面上の人工改変が進んでいるため断層位置の確認は困難となる。しかし,当段丘面の勾配が琵琶甲断層(a)の東方延長部でわずかながら上下流部に比べ急勾配になることから,断層がさらに東方へと連続する可能性は高いと判断される。
当断層による高位段丘下位面(構成層)の変位量は,上下方向に約5m(北東側上がり),水平方向に50〜150m程度と推定される。