今回のボーリングデータ収集・整理により,活断層が伏在していると推定される沖積低地における地層構成の大まかな傾向が把握できた。また,一部では断層にかかわる可能性のある局所的な不連続も見出されている。しかし,全体に沖積層が薄く,またボーリングデータの密度にもばらつきが多く,断層位置特定にまでにはいたらなかった。
【露頭情報の欠如】
琵琶甲断層や三木断層は,地形的には高位段丘面の不連続から高位段丘面形成以後(第四紀更新世中期以降)の活動が明瞭とされながら(八木浩司,1983), 断層露頭は長らく報告されていなかった。その後,地質調査所発行の北条図幅(尾崎正紀・栗本史雄・原山智,1995)では,琵琶甲断層で,大阪層群下部層を切る断層露頭が報告されているものの,本調査以前には高位段丘構成層を切る断層露頭は報告されていなかった。また,横ずれ変位地形については平野(1973)による予察的な報告があるのみで,詳しい記述はなされていなかった。