今回収集したボーリングデータは,報告書冊数141冊,ボーリング本数は650本であった。表3−1−2に収集に協力いただいた機関・部局を一覧表として示した。収集したボーリングリストは巻末資料として添付するとともに,調査地点を縮尺1/1万地形図にプロットし付図1とした。また,地質断面図(14断面)作成に用いた柱状図は,簡略化し章末に掲載した。
以下,作成した地質断面図について概説する。
【F‐1断面:福崎町市川左岸の南北断面】
基盤を覆う段丘砂礫層,沖積層の厚さは10m程度。沖積層は粘土を主体とし,層厚は1〜4m。ボーリングNo.F03‐01とF03‐02の間に沖積粘土層の層厚に大きな違いがみられる(図3−1−2,図3−1−3参照)。
【F‐2断面:福崎町市川左岸の東西断面】
断面西側は,層厚20m以上の大阪層群相当層が分布している(段丘面上に位置しているため沖積層はほとんどない)。一方,東側は基盤上に厚さ10 m前後の段丘層(西側の大阪層群と同層準か)が分布する。ボーリングNo.F14‐01とF14‐02の間の段丘粘土層の分布深度に大きな違いがみられる(図3−1−2,図3−1−4参照)。
【S‐1断面:加西市北条町の南北断面】
基盤の分布深度に凹凸があり,浅いところは地表付近に基盤が出現するが,凹部では15m以深となる。凹部を埋めているのは大阪層群相当層とみられ,沖積層の層厚は3m以下である。沖積層は上部が粘土層を主体とする(図3−1−5,図3−1−6参照)。
【S‐2断面:加西市大村町の南北断面】
断面中央部に基盤が露出する丘陵が位置し,両側の凹地には大阪層群相当層が分布する。沖積層は薄く層厚は2m以下である(図3−1−5,図3−1−7参照)。
【O−1断面:小野市加古川右岸の東西断面】
沖積層の厚さは5m程度で砂礫層が主体。沖積層の下位は,大阪層群相当とみられる砂礫層が潜在している。ボーリングNo.O10‐01付近のみ,沖積層の上部層準に厚さ2m前後の粘土層が分布している(図3−1−8,図3−1−10)。
【O−2断面:小野市加古川右岸の南北断面】
沖積層は厚さ3〜5mでいずれも砂礫層が主体。断面全体でも沖積層の厚さにあまり変化はみられないが,断面左手(北側)では沖積層の下位に大阪層群相当とみられる砂礫層が分布するのに対し,断面中央では大阪層群の下位の神戸層群が上がってきている。さらに断面右手(南側)では当地域の基盤をなす有馬層群が沖積層の下位に分布する格好になる(図3−1−8,図3−1−11)。
【O−3断面:小野市加古川左岸の南北断面】
断面中央は低位段丘であり沖積層は分布しない。低位段丘堆積層は層厚5m前後であり,断面左手(北側)で上部に薄い粘土層がのるほかは砂礫層からなる。段丘層の下位には大阪層群相当とみられる砂礫層が分布し,ボーリングNo.O16‐06,07,08付近では神戸層群が深度10m付近まで上がってきている。断面の両端部では,低位段丘を開析して堆積した薄い(層厚5m未満)沖積層が分布している。沖積層は,断面左手では
砂礫層を主体とするが,断面右手(南側)では粘土・砂層から構成される(図3−1−9,図3−1−12)。
【O−4断面:小野市加古川左岸のほぼ南北断面】
断面左手(北側)のみO−3断面にもあらわれる低位段丘層が地表付近に分布しているほかは,大阪層群相当層を覆って,厚さ5m前後の沖積層が広く分布している。沖積層は砂礫層が主体であるが,一部には粘土層も挟まれる。特にボーリングNo.O08‐04とO02‐03付近の砂礫層中挟まれる厚さ2m前後の粘土層の存在が注目される。なお,No.O16‐01とY10‐04の間では,神戸層群が深度5m付近まで上がってきている(図3−1−9,図3−1−13)。
【M−1断面:三木市北北東−南南西断面(西側)】
沖積層は,断面をつうじ層厚5m前後でほぼ一定しており,下位に大阪層群相当の砂礫層が分布する。沖積層は砂礫層が優勢で,上部には粘土・砂層が挟まれる。特にボーリングNo.M39‐07とM40‐02およびM40‐04付近では,沖積粘土層がやや厚い傾向がみられる(図3−1−14,図3−1−15)。
【M−2断面:三木市北北東−南南西断面(中央)】
沖積層は,断面右側(北側)を除き層厚5m前後でほぼ一定しており,下位に大阪層群相当の砂礫層が分布する。ボーリングNo.M36‐06とM36‐07の間を境とし,No.M36‐06側では,神戸層群が地表付近(GL‐2 m前後)まで上がってきており,沖積層の厚さも3m程度とやや薄くなる。沖積層は砂礫優勢であるが,ボーリングNo.M36‐04,05,06付近では,沖積層上部が粘土主体となる(図3−1−14,図3−1−16)。
【M−3断面:三木市北北東−南南西断面(東側)】
沖積層は,断面左側(南側)を除き層厚3〜5m程度。ボーリングNo.M36‐01とNo.M03‐06を境に,断面左側(南側)では沖積層の下位に大阪層群相当の砂礫層,断面右側では神戸が分布する。沖積層の上部には,一部を除き粘土・砂層が挟まれる。なお,断面左側では沖積層が8m前後とやや厚く表現されている(層境界−大阪層群相当層と沖積層の境−がN値での判断であり,実際の沖積層はもっと薄い可能性がある)(図3−1−14,図3−1−17)。
【H−1断面:姫路市豊富町の北東−南西断面】
所々基盤が地表付近に出現するほかは,20m以上の厚さの段丘相当層,沖積層が分布する。沖積層は厚さ3〜8m程度で,砂礫層が優勢であるが中位に厚さ2m程度の粘土層を挟む。ボーリングNo.H06‐02とH06‐03の間で沖積粘土層の分布深度に4m程度の違いがみられる(図3−1−18,図3−1−19)。
【H−2断面:姫路市豊富町の北東−南西断面】
沖積層の厚さは,6〜7m程度。沖積層は,砂礫層が主体で下部に1m程度の粘土層を挟む。断面の中央部では,沖積粘土層の分布深度が両側に比べやや深い傾向がみられる(図3−1−18,図3−1−20)。
【H−3断面:姫路市飾東町のほぼ南北断面】
基盤上に厚さ10〜20mの段丘相当層が分布し,沖積層はほとんど分布しない。段丘相当層は,概ね下部が砂礫層,上部が粘土層優勢であるが,断面左側蓮池付近では,側方変化が著しい傾向がみられる。また,ボーリングNo.B02‐05〜B02‐18では周囲より粘土層が厚くなる傾向がみられる(図3−1−21,図3−1−22)。