(2)トレンチ掘削の概要

本地区では,長軸が北東−南西方向を向く形でトレンチ掘削を行なった(図4−2−18)。

用地的な制限もあり,最終的なトレンチの規模は,開口部の長さが15〜25m,幅が約10m,深さが最大約4.5m程度となった。

掘削には,0.45m3級のバックホー(小松製作所 PC120)を用い,床土掘削→1段目掘削→2段目掘削の手順で行なった。

床土掘削 : 調査終了後に水田として使用できるように復旧するため,掘削範囲および掘削土を仮置きする範囲について,表層の耕作土を厚さ数十cm分だけはねのけた。

1段目掘削: まず,掘削予定範囲の全域を深さ約1m程度掘削した。この時点では,特に明瞭な変位・変形等をうかがわせるような状況は認められなかった。

2段目掘削: 1段目掘削に引き続き,南西側から北東側へ向かって最大深さ4.5m程度までの掘削を,壁面の概略観察をしながら行なった。なお,1段目掘削時の底面を約50cm幅で残して小段とした。

バックホーによる掘削に引き続いて,人力による壁面の整形・洗浄を行なって,詳細な観察や試料採取等の作業環境を整えた。

なお,主な観察対象とした長軸方向の2壁面は,正確には“北西側壁面”“南東側壁面”と呼ぶべきであるが,現場作業時には便宜上“西側壁面”“東側壁面”という呼称を用いたこともあって,結果の整理にあたってもこの呼称を踏襲している。