これらの未固結堆積層は,いずれも礫層が主体である。そのうち本流系のものは,円礫ないし亜円礫を主体としており,成層した粘土・シルト・砂層を挟むことがある (写真4−1−8)。支流系及び崖錐性の堆積物は,亜角礫ないし角礫主体の礫層を主体としている (写真4−1−9)。
未固結堆積層のうち段丘層は,地層の分布高度や段丘面の開析度合いなどから,大きくみて高位,中位,低位の3段に区分することができる。そのうち高位段丘層は,著しく赤色化していることが多い (写真4−1−10)。また,南光町下三河地区の中位段丘堆積物中には,白色の火山灰層とみられる層が挟まれている (写真4−1−11)。山崎断層沿いに発達する段丘層は,いずれも層厚は数m程度と薄く,10mを越えることはほとんどない。
一方,崖錐性堆積物は,中・低位段丘から連続するように見えるものと沖積層へと連続するように見えるものがあるが,両者の区別は一般につきにくい。ただし,当地域の崖錐性堆積物中に AT火山灰層 (約 24000年前の広域テフラ) が挟まれる場合が多いことから,崖錐性堆積物の形成時期は,更新世後期を中心とした時期とみられる (田中ほか,1984)。
山崎断層より南側には, 中生代白亜紀の酸性火山砕屑岩類 (一般的には流紋岩類とよばれている)が広く分布しており,暮坂峠断層付近は,この流紋岩地域にあたっている。流紋岩地域は, 全般に直線状の谷地形が発達し, 谷筋に沿って広い麓屑面 (一般には最終氷期最寒冷期頃の堆積した崖錐から構成される。一般に流紋岩地域には, 厚くしかも広大な面積をもつ面ができやすい) が発達している。今回の調査では, 暮坂峠断層にそった夢前町護持付近の崖錐の中に, 火山灰層が挟まれている露頭が確認された。この火山灰層は, 一般に麓屑面を構成する堆積物によく挟まれている AT火山灰層の可能性がある (写真4−1−12)。