２ 山崎断層の概要
山崎断層系は，岡山県勝田郡勝田町から兵庫県三木市にかけて北西−南東方向にのびる確実度T，活動度Ｂ級の活断層であり，総延長は ８７ｋｍ に達する （活断層研究会， １９９１）。山崎断層系は，随所に系統的な尾根・谷筋の屈曲がみられることから，左横ずれ成分が卓越した動きをもった横ずれ断層であることがわかっている。一方， 広域的な山地高度に着目すると，ほぼ山崎断層を境にして北東側の山地高度が相対的に高く，山地高度に明瞭な差を認めることができる。このことから，山崎断層系は，横ずれと同時に北東側が上昇する縦ずれ成分も有していることが考えられる。当断層系は，図２−１に示したように多くの断層からなり，そのうち大原断層，土万断層，安富断層，，琵琶甲断層は確実度Tであり，活動的な断層といわれている。
また，これらの他にも暮坂峠断層，三木断層など確実度Uとされる活断層を含め，山崎断層系を形成している （表２−１）。
山崎断層系はこれまで，地形・地質調査や地震観測，トレンチ調査など様々な調査が実施されている。以下従来の調査・観測資料から，山崎断層系について明らかにされている点について整理する。