山崎断層主部の活動間隔については,数千年程度と推定されているものの,現時点では曖昧さが残されており,これについてもさらに詳しい調査が望まれる。
活動履歴が明らかにされていない南東部の断層系のうち,現時点では琵琶甲断層のみが活断層であることが確認されている(大阪層群上部亜層群の相当する明美累層を変位させている)。この断層に沿って,更に新しい段丘層や沖積層を変位させている証拠は見つかっていないが,断層の活動が横ずれ成分が主体とみられるため,地形的に確認するのが困難であり,変位していてもこれまで見つけられなかった可能性がある。同じことは,三木断層(確実度U)やその他のリニアメントについてもいえる。そのため,これらの断層・リニアメントの活動性や,活動履歴を明らかにすることが必要と考えられる。
一方,“活断層の存在が予想される明石〜姫路にいたる北西−南東方向の海岸線”は,山崎断層本体とはかなり離れているものの,将来的には,断層の位置や規模・活動性などを明らかにしておくことは必要とみられる。
なお,山崎断層系の地形・地質については,局所的にはある程度の詳しい記載はあるものの,山崎断層系全体としての断層図は“新編日本の活断層”に掲載されている程度であり,山崎断層系全体について詳しい地形・地質調査を実施し,精度の高い断層図(ストリップマップ)を作成することも必要である。