2−1 現在の地震活動からみた山崎断層

山崎断層系に沿っては,微小地震の集中度が高く (図2−2),地震の観測結果から以下のことがわかっている。

・震源は地殻上部に限られており,ほとんどが深度20kmまでの範囲におこっている。

・地震はほとんどが東西方向の最大圧縮主応力により発生しており,地形・地質的に認められる山崎断層の動き(左横ずれのセンス)と一致している。

また,1970年代の後半から地震予知のテストフィールドとして,断層をまたいで設置された観測用トンネルでの歪み観測をはじめ,電磁気・地下水・地球化学的観測など多くの観測が実施され,1984年の山崎地震 (M=5.6)の際には,本震に先立つ予兆的な現象がつかまえられている。

なお,現在までの地震観測によれば,山崎断層にそって地震が集中するのは,山崎断層の北西側であり,北条〜明石にかけてはやや不明瞭である。しかし,1984年の山崎地震の際には,断層系のうち最も活動的な大原断層−土万断層−安富断層に沿った部分ではなく,安富断層の南側に位置する確実度Uの暮坂峠断層に沿って余震が集中しており,さらに南に位置する明石海岸にそった地域での活動も認められる。