分析は以下の方法に従って行った。
試料約50g(湿潤重量)を60℃で乾燥し、秤量する。試料に水を加えて、超音波洗浄、流水シャワーにより泥化する。試料が半固結状態で泥化が進まない場合は、ナフサ法により泥化する。つぎに、#250、#60の標準ふるいにより篩分け(0.063mm/0.25mm)を行い、泥分を除去する。得られた砂粒(0.063〜0.25mm)を乾燥し、検鏡用試料とする。得られた試料の一部をシャーレにまいて双眼実体顕微鏡で観察し、おもな砂粒構成と、含まれる化石や火山噴出物の区分を行い、含有量の相対区分を行う。この際、試料中に含まれる化石については特に注意し、産出量については鉱物、岩片などのように砂粒中に占める割合ではなく、一般的な堆積物中に含まれる量を基準にして量比を判定する。
化石の相対量の区分は、つぎのような基準にしたがっている。
区 分 視野に認められる個数
+ : 稀れ 走査して検出される
++ : 少ない 数個程度
+++ : 普通 数個〜10個
++++ : 多い 10個〜数10個
+++++ : 非常に多い 数10個〜
試料採取は、微化石が含まれている可能性が大きいと考えられる細粒分を主体と地層において、原則として2m間隔として行った。
堆積環境の判定に際しては、おもに珪藻の含有に着目して行っている。つまり、砂粒を対象として行ったこの試験では、前処理で得られる程度の大きさの珪藻種に海棲種が多いためである。
得られた結果を表3−4−1にまとめて示す。
なお、試験結果の総合評価は、地質解釈において後述している。
試験結果によると、火山灰として6枚が検出された。これらのうち表中に示しているように、4枚の火山灰層がほぼ同定されており、地質層準の確定に有用な情報となった。しかし、ほかに未同定火山灰(SH2V09)と山田V火山灰に特徴が似た火山灰(SH2V14)が検出されているが、これらの火山灰の詳細な検討に際しては、今後のテフラ研究の成果を待つ必要があろう。