麓郷断層の検討から，最も新しい活動は約３，７５０ｙＢ．Ｐ．以降，約２，７００ ｙＢ．Ｐ．以前に起こったと推定され，平均変位速度を勘案すると近い将来に同程度の規模の地震が発生する可能性は極めて低いと考えられる． なお，この調査で把握できる地震活動は，マグニチュード６．５以上の活動であり，それ以下の規模の地震については評価できない．例えば，活断層の周辺で発生する小規模な地震でも，被害地震となる事例（留萌支庁南部の地震など）が出てきているのも事実である．従って，無用に安心するのも問題である．近年，富良野断層帯付近でも，震源の浅い地震活動が観測されるようになってきていることからも，内陸地震に対する，いざという場合の備えを忘れてはならない．そのためには，住民のひとりひとり，地域，自治体，国そして防災関係機関が一体となって，それぞれの段階での地震対策を進めてゆき，地域の全体的な防災力を高めて，被害を最小限にする努力が必要である．

まず，自分たちの住む地域の活断層の位置や，自分の住む場所の地盤条件について，よく確認し，建物や室内の安全性等について十分な配慮をしてゆきたい．近い将来活動する可能性が極めて低いという結論とはいえ，活断層の上に重要な構造物をつくることは避けたい．また，年代の幅を考えるならば，このことを次の世代へ伝えてゆくことも重要である．活断層の周辺はもとより南富良野町，富良野市，中富良野町，上富良野町に住む人々は，地震との共生という観点に立ち，日頃から地震防災に心がけてゆく必要がある．