3−5−4 ボーリング調査結果

トレンチ調査によって,断層の位置や最新活動時期が明らかになったことから,さらに,断層の傾斜などの形態,累積変位量などを明らかにすることを目的に,トレンチを挟んで2孔のボーリング調査を行った(図3−5−1).

各ボーリングの柱状図を図3−5−12および図3−5−13に示す.

ボーリング・コアの観察結果に基づき作成した地質断面図を図3−5−14に示す.

断層上盤側(TJ−1孔)では深さ約1.3mからトレンチのW層に相当する礫層が認められ,深度約4.0m以深で火山角礫岩からなる.火山角礫岩は,全体的に破砕を伴い,軟質で,粘土化が著しい.破砕の構造は,約50°〜75°が卓越する.この火山角礫岩は,周辺の地質状況から,先第三系の空知層群の緑色岩類に対比される.深度約19.0mからふたたび礫層が出現する.明瞭な断層面は観察されなかったが,この層準で先第三系と礫層は,逆転の構造になることから,断層関係であると判断した.この境界とトレンチの断層の位置を繋ぐと,断層の傾斜は約50°となる(図3−5−14の赤破線).

断層下盤側(TJ−2)では深さ約1.5mでW層上面が確認された.トレンチ,ピットAおよび各ボーリングから作成した断面図(図3−5−14)からW層上面の高度差を読みとると,約3mとなる.一方,現在の地表面の高度差およびV層の上面の比高は約2.5mであるが,トレンチ内およびTJ−1孔で上盤側のV層が削剥され,一部の地層が欠落していることを考慮すると,1回の変位量は約3mである可能性が高い.断層低下側における溶岩上面の高度はTJ−2孔で30m以深であると確認されたことから,溶岩上面の変位量は約27m以上であるといえる.