(2)ピットB〜ピットE調査結果

トレンチでは,U層とV層の関係から,イベントを推定したが,整合に見える所や不整合に見える所があるなど,(前述の解釈をしたものの)確実性に乏しいと判断した.また,V層中に分布する断層の上端も次第に不明瞭であり,U層が変形に参加している可能性も完全に否定できなかった.そこで,最新活動時期の確実性を高めることを目的として,トレンチの北側の低崖延長上にピットB,ピットC,ピットDを掘削した(図3−5−6).その結果,断層はピットCとピットDの間に推定されたため,これらのピットを連結,拡張し,ピットEとした(図3−5−1).ピットB〜Dのスケッチおよび写真を図3−5−7図3−5−8図3−5−9図3−5−10に,ピットEのスケッチおよび写真を図3−5−11−1図3−5−11−2図3−5−11−3に示す.

ピットEではトレンチで認められたT層,U層,V層およびW層が認められた.トレンチと同様に,V層を明瞭に切断する断層面が認められた.断層面は,地表付近でより低角となり,ほぼ水平となる.断層の上端は,やはり不明瞭であった.しかし,T層とV層の間には明瞭な傾斜不整合が認められた.このことから,U層とV層の間に構造的な不連続,すなわち断層活動があったと判断できる.T層最下部から得られた14C年代は約2720y.B.P.であり,V層からは約4550y.B.P.および約5300y.B.P.の値を得た.これらのことから,ピットEから推定される最新活動時期はV層堆積以降,T層堆積以前であることが確実で,その年代は14C年代から約4550年前以降,約2700年前以前となる.