3−2−1 上富良野町東中地区

本地区は,麓郷断層の北端に位置する(図3−1−1).本地区は十勝岳の西山麓に位置し,山麓を刻む谷に沿って扇状地性の地形面が分布する.地形面の年代は,不明であるが,最終氷期末期と推定される.この地形面に,東上がりの撓曲崖とその東側に西上がりの逆向き低崖が認められる(図3−2−1図3−2−2).麓郷断層の地形的特徴から,東上がりの撓曲崖が主断層(逆断層)であり,それと対をなす逆向き低崖側は,バックスラストに相当することが予想される.また,北端に位置することから,スラストの末端に形成されるtear faultの一部,例えば,横ずれ断層の正のフラワー構造に相当する可能性がある.

まず,断層の存否を明らかにする必要がある.また,最終氷期末期と推定される地形面であることから,活動時期の解明が期待される.ただし,経験的に,最終氷期の地形面は周氷河現象による著しい表層変形(インボリューション)をうけている場合が多く,断層変位との識別が困難となる場合がある.