@4面の段丘面(高位面:T1,中位面1:T2−1,低位面1:T3−1,最低位面:T4)が認められる.
A活断層と推定されるリニアメントは形成時期の異なる段丘面の境界である可能性が高い.
B斜面変動に伴う崩壊地形などが確認できる.崩壊地形の分布には集中する傾向があり,それらの下方には移動体・線状凹地が存在し,地すべり地形が推定できる.
空中写真判読結果を考慮に入れ,現地で地形地質精査を行った.その結果を精査図として付図2−3にまとめ,その縮図版を図3−1−10として本文中に示した.本地区内の露頭柱状図集とイロンネベツ川沿いの露頭・ボーリング柱状対比図を図3−1−11に,地形状況と露頭の写真集を図3−1−12・図3−1−13にまとめた.
調査結果の要点は以下のとおりである.
@本地区の地質(層序)は下位より,鮮新世〜前期更新世火山岩類(Pv),高位面堆積物(T1d),中位面堆積物(T2d),低位面1堆積物(T3−1d),最低位面堆積物(T4d),現河川氾濫原堆積物(Ad),新期の火山灰・ローム・腐植層である(図3−1−11・図3−1−12・図3−1−13).これらのうち鮮新世〜前期更新世火山岩類はイロンネベツ川二股付近において,高位段丘面(T1)の段丘崖に露出しており,火山性土石流堆積物・火山角礫岩相を主体とし,火山性堆積岩をともなう(構造不明).後で説明するようにボーリング調査では,はさまれるスコリア質凝灰岩のフィッショントラック年代測定から,前期更新世末の年代値が得られている.
A地形面区分的には,本地区の主要部分を占める地形面については,従来,中位面1と一括し,南東側より武佐岳方面に向かい,撓み上がる部分を“開陽断層北部東側地形変位部”として活断層の現れでないかと考えられていた.本調査でも平成15年度において,段丘崖の傾斜層のある露頭を見いだし,活断層(撓曲)露頭?が存在するとした.しかし,空中写真判読で示したように,本来の中位面1はイロンネベツ川沿いに扇状地状に分布しており,撓み上がった部分とは明らかに区別できる.撓み上がった部分は山地際に北方へ帯状に追跡でき,北川北地区の高位面(T1)に対比でき,“地形変位部”は段差部の可能性が高くなった.
B活断層露頭?と見なした部分に明らかに地すべり体が認められ(図3−1−13),背後に滑落地形なども認められ,活断層の可能性についての正否はボーリング・ピット調査(周辺露頭調査を含む)に委ねることとした.