長さ1.5kmの測線において、大型バイブレータと小型バイブレータを併用した浅層反射法地震探査を実施した。現地調査では、反射法の測定作業とそれに付帯した測量作業を行った。
(1) 作業工程
平成15年9月から測線踏査を開始し、地元交渉や許認可申請などを経て、平成15年10月上旬に現地調査を実施した。以下、その日程を示す。
・動員 : 平成15年10月5日
・受振ライン設定 : 平成15年10月6日
・パラメータテスト : 平成15年10月6日
・測定作業 : 平成15年10月7日 〜 同年10月9日
・撤収・復員 : 平成15年10月10日 〜 同年10月11日
合計 7日間
測定作業に並行して、測量作業を平成15年10月4日から8日まで(5日間)実施した。
(2) 実績
測点数(受振点と発震点)の実績は、以下のとおりである。
・総受振点数 : 301点
・総発震点数 : 301点
−2測定作業
測線に沿って、道路の路肩に、受振点の位置を示す木杭を5m間隔で設置した。木杭を中心に、それぞれ3個の受振器(固有周波数 10Hzの速度型ジオフォン)を約0.5m間隔で展開した。データ収録には、GDAPS−3有線テレメトリーシステム(図3−2−1−7)を使用し、4受振点(20m)ごとにデータ収録装置(RSU)を設置すると共に、データ伝送用の本線ケーブルを測線に沿って敷設した。道道八千代帯広線との交差点では、交通に支障を来たさないように、本線ケーブルの共架を行い、電柱などを利用して空中でケーブルを渡した。ウツベツ川はほとんど水量がなかったので、直接、ケーブルを対岸に渡し、陸上自衛隊敷地内に入った。陸上自衛隊敷地内では、測線となる作業道の脇に受振器、本線ケーブル及びRSUを配置した。
震源には、原則として大型バイブレータ1台(図3−2−1−8)を使用して、5m間隔で発振を行った。各発振点では、原則、3スイープの発振による垂直重合を行い、S/Nの向上を図った。但し、帯広市上水道配水場に近接する道路区間では、住宅が近く、道路幅も狭いので、振動の影響を考慮して、小型のミニバイブレータ(図3−2−1−9)を震源とした。
測定作業では、測線長が1.5kmと短く、総受振点数も301点なので、各発振に対して全受振点で観測を行う固定展開方式を用いた。各受振点での観測データは、RSUにおいてA/D変換を行い、本線ケーブルを通じて観測車内のデータ収録装置に伝送して最終的に磁気テープに収録した。
−3 測量作業
RTK−GPS測量により測点(受振点及び発振点)位置を算出した。受振点については、木杭の位置(受振器展開の中心)を、発振点については実際の起振箇所(ベースプレート)の位置を算出した。
(1) 作業工程
・動員 : 平成15年10月4日
・測線測量 : 平成15年10月5日〜同年10月7日
・基準点測量 : 平成15年10月6日
・復員 : 平成15年10月8日
合計 5日間
(2) 実績
・測線長 : 1.5km
・受振点数 : 301点
・発震点数 : 301点
(3) 測量方法
@ 基準点測量
調査地域内に、国家四等三角点「浄水場」を与点とした、RTK−GPS観測の放射法を行い、新設基準点を1点設置した。
A 測線測量
作業で使用する道路(作業路線)の植え込み、または路肩に、受振点と発震点の位置を、エスロンテープを使用して、計画された間隔に、木杭、または白チョークで標示した。
B 細部測量
国家四等三角点「浄水場」と新設基準点を与点としたRTK−GPS測量の放射法を行い、受振点と発震点の位置を求めた。
C 水準測量
細部測量で受振点と発震点の標高を、位置と同時に求めた。
D 受振点及び発震点の座標算出
細部測量で取得した測量データをもとに受振点及び発震点の座標値を算出した。
(5) 使用した国家三角点及び国家水準点
本作業で使用した測地諸元を以下に記す。
・点名 : 浄水場
・等級 : 四等三角点
・1/5万地形図 : 帯広
(6) 測定諸元 表1
−4 主要機材
(1) 反射法
・起振車 : IVI社MK4/Y2400バイブレータ 1台
: IVI社ミニバイブレータ 1台
・受振器 : SM−24 (固有周波数10Hz 3個/組)
・データ収録システム : GDAPS−3 デジタルテレメトリーシステム
・車両 : 観測車および一般車両
(2) 測量
・RTK−GPS測量機 : TOPCON LEGACY E/GGD 3台
・トータルステーション : TOPCONGPT6003C 1台
・データコレクタ : TOPCON FC−7 2台
・3素子プリズム : TOPCON2型 2台
−5 取得データの品質
図3−2−1−11、図3−2−1−12、図3−2−1−13に取得データの例を示す。各例において右側が原データ(ショット記録)、左側が取得した原データに対してディジタルフィルター(図面の表示段階での30Hz〜150Hzのバンドパスフィルタ)を適用したものである。調査期間中、陸上自衛隊十勝飛行場内で土木工事が実施されており、ほぼすべてのショット記録において、その土木工事に起因したノイズのため、反射波が部分的に不明瞭となっているが、低周波数除去フィルターを適用すると、ノイズが低減され、明瞭な反射波が現れてくる。
@ VP−1
測線の起点において、大型バイブレータで発振した記録(図3−2−1−10)である。受振点番号130〜260の区間では、陸上自衛隊基地内の工事に起因したノイズが卓越している。但し、前述したように低周波数除去フィルターを適用すると、反射波が明瞭となる。反射波は、往復走時で、発発震点付近で約1秒、測線の端で約1.2秒の深度まで確認できる。
A VP−100
住宅街において小型バイブレータで発振した記録 (図3−2−1−11)である。大型バイブレータと比較して震源エネルギーが小さいので、記録全体にわたりノイズが卓越している。低周波数除去フィルターを適用すると、反射波の存在が確認できる。発振点付近で約0.5秒、測線の端で約0.7秒の深度まで明瞭な反射波が見られる。
B VP−200
陸上自衛隊の滑走路脇の作業道において大型バイブレータで発振した記録(図3−2−1−12)である。震源からのエネルギーが工事現場のノイズレベルよりも相対的に高いので、原記録の品質は良好であり、往復走時で約1.2秒まで明瞭な反射波が確認できる。0.3秒から0.5秒の区間には、強振幅の反射波が存在する。
C VP−309
陸上自衛隊基地内に測線の終点において大型バイブレータで発振した記録(図3−2−1−13)である。震源付近では表面波によるノイズ、測線の南東部では道路での車両通行によるノイズが卓越している。低周波数除去フィルターを適用することにより、約0.5秒まで明瞭な反射波の存在が確認できる。