3−1−3 まとめ
光地園断層では平成14年度調査で上野塚トレンチにおいて尾田面および沖積錐を変位させる断層活動が見いだされていた。一方、より北方の大樹町光地園〜紋別川流域では段丘など新期の地形に断層変位を示す証拠がないことが平成13年度調査で判明している。平成15年度調査では紋別地区において、調査地区北部では忠類面・尾田面相当に変位が認められないことが判明した。ここでは支流性堆積物による埋積の影響はないため、少なくともこれらの面形成以降(2万〜6万年前以降)断層活動はないと言える。一方、撓曲崖の北端付近では急速に地形変位が小さくなるが、これは支流性河川堆積物により地形が埋積されたためさらに地形トレースが不明瞭になっている可能性が上げられる。TP4−1〜TP4−5では、撓み下がる礫層を埋積して下盤側で発達する支流性堆積物を確認できた。これらは断層変位に伴うプリズム堆積物である可能性がある。トレンチ調査により撓曲崖地形を直接掘削して、変位の形状や時期を確認する必要があろう。上野塚地区では、石坂面堆積物に東上がりの撓曲変位が見いだされた。撓曲変位に近接して掘削されたTP5−1において、礫層に直線的な剪断構造がみられ、C3層もまた礫の直立等が認められる。C3層からは2150±40yBPの14C年代が得られたが、より上位のA3層からは5100±40yBPの14C年代が得られ矛盾する結果となった。
緑が丘断層については,概要調査の結果,断層地形とされた崖は上更別T面の段丘崖であること、地盤浅層部の段丘礫層およびそれ以浅の地質には崖地形に対応する変位は見いだされなかったことから、地形地質的には断層変位の可能性は指摘できない.この断層については,第四紀断層であるかどうかの検討を,第四紀前期〜中期の地層により検討することが必要となった.