(1)御料断層

十勝火砕流堆積物の年代は,約1.18Maである.下盤側の十勝火砕流堆積物の上面高度は,ボーリング資料を参考にすれば標高160m付近と考えられる.一方,上盤側は浸食されているため不明であるが,分布の最高高度(八線川付近)は,標高320mである.従って,その高度差160mをもって平均変位速度を試算すると約0.13m/1000年となる.

T2面の分布する二線川〜四線川に挟まれたナマコ山では,礫層基底の高度差が約65mある.礫層の基底面の年代は,T2面の年代に近似することはできない.なぜなら,T2面堆積物があるということは,それ以前から,先行谷として存在しなければならない.すなわち,扇状地堆積物の起源にまでさかのぼる.この地域でもっとも古い段丘面T1面の年代は,50万年前と推定されている(柳田,1985).よって扇状地礫層基底の年代を50万年前として,平均変位速度を求めると,約0.13m/1000年となる.

中御料地点での調査において,T4面に最大2.5mの変位を与えている.地形面の形成年代を10−15kaとおくと,平均変位速度は0.16−0.25m/1000年となる.