御料断層の北端は,明瞭な断層地形が追跡されるのが,空知川の支流,北二線川まで認められることから,同河川までを北端とした.それより北方は,空知川および同河川が作った氾濫源が広がるため,存否は不明である.なお,空知川より北方には,清水山断層がある.清水山断層は,御料断層と同様の逆向き断層崖であるという特徴に共通点があり,御料断層の北方延長の可能性もある.しかし,活動度や活動期の同一性を示す証拠は得られていない.一方,御料断層の南端は,上御料の十三線川まで追跡され,それより南方は,より西にシフト位置になる,別なセグメントに移り変わる.
断層崖トレースの形態に注目すると,中御料や上御料など,同断層崖を横断する比較的川幅の広い河川の付近では,断層トレースが大きく東側へ湾曲し,断層崖は西に張出す弧状の形態となっている.例えば,四線川と五線川は,湾曲する地形にそって河川が合流している.北海道(2003)でも,この形態的特徴をすでに指摘したが,それが侵食による見かけのものか,それとも断層の位置が地形なりに弧状に曲がっているのか,は不明であった.本年度のピット,トレンチ,ボーリングによる詳細調査と地表分布の精査の結果,これらの地形的特徴は,低角逆断層の形態で説明可能であることが明らかとなった.