3−4−3 トレンチ調査結果

ピット調査の結果,本地点に断層による変位が及んでいる可能性が残されたことから,ピットで認められた構造の成因を明らかにすることを目的に,ピットA,ピットB及びピットCを拡幅し,トレンチ調査を行った(図3−4−5).トレンチの各法面のスケッチと写真を図3−4−6−1図3−4−6−2に示す.

トレンチでは,ピット調査と同様の層序が確認され,東側の十勝熔結凝灰岩二次堆積物は撓曲状の崖地形に沿って崖の基部付近まで分布し,同二次堆積物は,崖の基部付近で西側の河成堆積物と指交関係にある.河成堆積物中の材化石及び腐植層の14C年代は約20000y.B.P.〜約19000y.B.P.の値を示す.十勝熔結凝灰岩二次堆積物及び河成堆積物を覆って,不淘汰なローム質礫層からなるT層が,低崖にアバットするように分布している.黒色土壌は,地形面と平行に分布しており,黒色土壌最下部の14C年代は約2700y.B.Pの値を示す.

十勝熔結凝灰岩二次堆積物は,ピット調査結果と同様,大局的には崖地形に沿って西傾斜している.同堆積物内の砂層等の薄層には斜交葉理が認められ,これらの葉理も,西傾斜あるいは東傾斜を示し,緩い波状の構造を示す.

しかしながら,本トレンチにおいても,ピット調査と同様,断層による変位を明確に示す構造は確認されなかった.