(1)背景

平成14年度の調査で,東鳥沼地区のR−1コアより,深度22.45−22.8mに支笏第一テフラ(Spfa−1)が確認された.深度22.8mまでの6試料(深度4m,9.5m,13m,18.8m,22.05m,22.8m)の花粉分析結果,3つの花粉帯に区分可能であることが判明した.その結果,花粉帯2(深度13.0mと深度18.8m)は,最寒冷期の可能性が高いこと,花粉帯3との境界(深度9.5mと13mの間)が8,000年前に相当すること示された.

一方,このコアは,14C年代測定も実施されており,深度3.4−3.5m:2970±60 y.B.P,深度4.6−4.7m:7390±60 y.B.P,深度5.45−5.55m:8,570±70y.B.P,深度9.4−9.5m:17,100±150y.B.P,深度13.1−13.2m:22930±160y.B.P,深度15.5−15.6m:27860±750y.B.P,深度18.7−18.8m:34490±520 y.B.Pの年代(すべて補正年代である)が得られている.

この年代結果は,8,000年前の境界深度の認定で,明らかに上記花粉分析の結果と矛盾する.14C年代値は,その上下の地層の年代値とも調和的で逆転はみられない.一方,花粉分析の方は,分析の間隔が粗い.そこで,R−1コアの未測定部分について,分析を実施することにした.