(3)四線川〜八線川

四線川右岸のナマコ山山腹では,かつて砕石採取がおこなわれた大露頭が見られる.そこでは,東側に十勝溶結凝灰岩が露出し,それを河川性堆積物がチャネル構造をもって接している.河川性堆積物の中には,径2−3mのオーバーサイズのメガブロックが含まれている.これは,チャネル形成時にすでに溶結凝灰岩の壁があり,側方侵食などによる不安定化をへて,落石したものと考えられる.

八線川左岸付近では,背後の扇状地形とは逆傾斜の小規模扇状地があり,その傾斜変換線が断層崖として引かれる.しかし,周辺には河崖が発達・多段化しており,撓曲崖との区別が困難である.あるいは,すべて河崖である可能性もある.比較的新しい堆積物からなることが予想され,最新活動期を特定できる可能性が高い.低崖は,小規模扇状地の末端に位置するため,変位基準には適さない.

八線川左岸には,大露頭があり,十勝火砕流堆積物中に東側隆起・東傾斜の逆断層が見られる.八線川沿いで昨年度に実施した反射法地震探査の解釈結果を示す(図3−1−4).御料断層は,その地下延長部の反射面群が層理面とほぼ平行の東方に傾斜していることから,層面すべりに起因するバックスラスト(Blind thrust related back thrust)と考えた(北海道,2003).