4−3−2 途別川断層

途別川断層については,従来の研究により断層変位による撓曲崖の存在が指摘されていた.しかし本年度の調査により,それらは断層による変位地形である可能性が低いことが判明した.すなわち,断層崖・撓曲崖といった,断層活動を直接示す地形は,途別川断層には存在しない.地質断層としての途別川断層は池田層・芽登凝灰岩・渋山層を傾動させており,新第三紀中新世以降第四紀更新世中期まで活動していたことは確実である.芽登凝灰岩(0.5−1 Ma)の垂直変位量は幕別台地と札内川地下付近の間で約120mに達する.これから平均変位速度を見積もると0.12〜0.24m/kaとなりB級下位の活動度となる.しかし,後期更新世以降現在までは,撓曲が継続していることを示す根拠に乏しい.その点では,途別川断層も,その他の第四紀断層と呼ぶべきものである.