4−3−1 旭断層

平成13年度反射法地震探査において札内・千住両測線地下で新第三系上部中新統(糠内層相当以新)に累積的な傾動変位を与えていること,音更町栄南方の台地上では,芽登凝灰岩を西落ちに50m程度傾動させていることから,少なくとも新第三紀中新世後期以降,中期更新世までは確実に活動している.芽登凝灰岩(500〜1000ka)の旭断層による垂直変位量は50m程度なので,中期更新世以降の平均変位速度は0.1〜0.05m/ka,活動度はC級上〜中位となる.しかし後期更新世以降における地形変位の存在を示す根拠は乏しい.本年度実施トレンチ調査の結果より,過去1万3千年間は断層活動は認められない.旭断層周辺の高位段丘(Ma−t1〜3面)は,旭断層リニアメントそのものが地形面境界となっているため,変位基準として用いることはできない.栄南方ではMa−t3面に対比される可能性がある狭小な地形面が変位している可能性があるが,地形面堆積物の大部分が失われているため地形面対比の根拠に乏しく,変位基準としての確度は低い.また,Ma−t1〜t3面の段丘群についてはToyaテフラ(105ka)よりも古いことが判明している程度で時間軸決定の精度も低い.前述の定義に従えば,現時点では旭断層を活断層と呼ぶ根拠は乏しく,その他の第四紀断層として扱うべきものであろう.